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2020年5月

2020年5月29日 (金)

身体図式を作ろう ③

つづき

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2つの遊びの場面です。どんなことが「遊びの目的」となっているでしょうか。

<上の写真>
 そりが斜面を下っています。スピードが上がることを見越してか、動きだしたので後ろに倒れないように手でソリの端を持っています。

<下の写真>
 ローラー滑り台は、自然とスピードが出やすいですね。スピードコントロールするためには、手で側面を適度な力加減で握ってコントロールするでしょう。また、推進力をつけるためにはしっかり握って体幹を前に突き出すような動作をすることでしょう。

 体が傾いたら姿勢を保つために手が出る。何かをつかむ。前に進むために何かをつかむ。当たり前のようにやる動作ですが、それを引き出すための遊びや遊ばせ方をしています。そして手を含む上肢機能は、「身体を支える手」→「つかむ・握る手」→「握りつづける手」→「道具を使う手・意思を伝える手」に発展していきます.


 ここでの遊びの目的(身体図式つくる)は「状況にあった動きを自然にできること」です。

あと、1回ぐらいこのテーマをしますね。

つづく

2020年5月21日 (木)

5月20日(木)より、段階的な登園期間を設けています。

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 現在、本園では5月20日(水)から5月末日まで3密(密閉、密集、密接)の状況を
できる限り最小限に抑え、通常の療育へと段階的に移行していくため、活動人数と時間を
制限した親子登園による登園日を設けます。

  段階登園にともない、感染拡大防止の取組みを行っています。職員の対応については、
出勤前に体温測定しマスクの着用を含む咳エチケットや手洗い、アルコール消毒等を徹底
しています。このことは、送迎を依頼している福祉寝台自動車(株)の皆様にもお願いを
しています。

<主な登園での対応>

遊具、園内の定期的な消毒

手すりや椅子等の直接触れるものの消毒

園児、保護者用の消毒液の設置

園内の定期的な換気

職員の毎日の体調管理の徹底

職員の手洗い、うがいの励行

マスクの使用

3密にならない療育のための利用人数・時間の調整

送迎中の車内換気、座席間の飛沫防止シートの設置

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等をおこなっています。

2020年5月19日 (火)

身体図式をつくろう ②

つづき。

  身体図式をつくるということは、自分の脳にからだをマッピングすることです。
ですから、感覚刺激とそれに応じた運動を行っていくことで動作がだんだん獲得し
巧みになっていくのです。

では、かしの木学園の療育活動ではどうしているのか、ふれあい体操を例にお話します。

 

♫ジーかいてぽん体操

  この体操は手や足をよく擦る体操ですが、「さする」という感覚入力を入れることが重要です。さすり方、刺激の種類、方向、力加減、体の部位がいろいろありますが、重要なのは「さすった内容が子供に正確に伝わるようにする、かんじるようになる」ことです。つまり、「つよく押した」なら「つよく押された」、「少しこちょこちょした」なら「少しこちょこちょされた」ということです。もちろん乳幼児ですから、どう伝わっているかはわかりませんが、今やっていることは、正しい感覚を感じるための練習なんだと、大人が理解していることが重要です。つよく、よわく、中間、などなどいろいろな頻度、強さでやりましょう。

 

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♬にょきにょき人参さん。大根さん。!!

  大きく、手や足の関節を動かしてあげますよね、どんな動かし方をされているのか、筋肉の長さや、関節の角度の情報を脳に送っています。「動きを知る」という観点からだと、しっかり伸ばす、しっかり曲げるだけでなくいろいろな速度や角度で行うことが大切です。
 後半はいろいろな触り方をしますね。「♫あらって~(さする)」、「♫皮向いて~(ひっかく)」、「♫とんとん切って~(部分的におされる)」、「♫なべにいれ~(広くおされる)」など、触れた感じ、暖かさ、冷たさ、痛さ、くすぐったさ等、色々な感覚を感じてもらうことが大切です。 

(つづく)

2020年5月15日 (金)

身体図式をつくろう ①

前回、動作のつながりを書きました。今回も動作について考えていきます。

 

 お母さんの体内から出てきた赤ちゃんは羊水にいたときと違って(浮力があった)重力の影響下に置かれます。そして重力下で動けるように発達していきます。上下方向、左右方向、ねじれの方向と体を動かせるようになりながら、首が座る、あおむけ、寝返り、うつぶせ、よつばい、はいはい、おすわり、つかまり立ち、よちよちあるき、といった流れで粗大運動ができていくと思います。1歳半ぐらいまでに一生使う運動機能の基礎が出来上がるわけですが、言葉が理解できる以前の乳児が、どうして歩けるようになるのでしょうか?(ちなみに、体の部分を言えるのは1歳6ヶ月頃から、前後左右の理解は3歳6ヶ月頃と言われています。)

 

 赤ちゃんの運動中は、表在感覚(さわった感じ)、深部感覚(筋肉の長さ、関節のまがりぐあい)前庭・平衡感覚(頭の傾き、動くはやさ)、視覚(みえるもの)、固有感覚(筋肉の張りぐあい)といった外界の様子と自分の位置関係を感覚情報として脳が知りながら、体をうごかすために脳から筋肉に司令を送って動作おこないます。これが繰り返されながら、からだが今どのような姿勢にあるのか,からだの各部位がどのような位置関係にあるのか、ある動作を取るにはからだのいろいろな部分を、どこからどこへどのくらい動かせばよいのか、といったことを無意識にできる基準や指標を徐々につくりあげるのです.これを身体図式(body schema)といって、ヒトにとって動作の基礎となるものです。身体図式ができあがるにつれて、首の座り、あおむけ、寝返り、うつぶせ、よつばい、はいはい、おすわり、つかまり立ち、よちよちあるきができていくのです。

 身体図式があることで、無意識下での運動がスムーズにこなせるようになります。例えば、歩くことをとっても、歩くことは意識しても体のうごかし方を意識しなくても、体は協調的に効率よく歩いてくれます。大勢の人混みに中でもうまくすり抜けるために、歩くスピードを変えたり、体を捻ったりして、ぶつかったり転んだりしないで歩く事ができるのです。

P1000195「トンネルをくぐる」
周りの状況に合わせた姿勢になって遊んでいます。トンネルの高さより低い姿勢にし、かつ適度な空間をとって進みます。

Rimg0913_2「巧技台を渡る職員」
巧技台を渡ることは意識していますが、体の動かし方や筋肉への力の入れ具合は無意識下
でおこなわれています。

ところで、ボディ・イメージ、身体像(body image)という言葉がありますが、これはどのようなことを指すのでしょうか。例えば、「そろそろとあるく」、「うさぎみたいにあるく」なんて言われたらどう歩きますか。きっと普段と歩き方を変えるとおもいます。「すりあし」にしたり「はねて」あるきますね。」あるき方が変わっても、基本的な姿勢を崩さず体を動かすといった身体図式にのっとった部分はかわりません。「そろそろ」「うさぎ」といった意識的な部分を想起することを身体像(body image)といいます。

Img_0173「うんとこしょ・どっこいしょ」
本当に引っ張っているのではなく、絵本「おおきなかぶ」のあるシーンを表現しながら動作を行っています。この時も、姿勢を維持しながら身体を動かすこと自体は無意識下で行われています。

 

運動発達の遅れや不器用といった問題があるとしたら、大きな課題として身体図式が未熟なことがあげられるかもしれません。(つづきます)

 

どうさのつながりを作ろう。

 かしの木学園の登園を控えていただいてしばらくたち、子どもたちの変化も気になります。
 今日は、ブログから発信できることを書いてみました。読んでみてください。

 

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 子供は発達に伴ってできることが増えていきます。積み木をつむ、かばんをかける、クレヨンを使うなど遊びや生活の中で、できることが広がっていきます。では、積み木を例にとってどうして積み木が積めるようになるのか考えてみましょう。1歳5ヶ月頃のお子さんの様子と仮定して、積み木をつむときの動作・手順を分析してみました。

①つみ木に興味を持つ。あそびたいとおもう。

②つみ木に近づく。つみ木に手を伸ばす。

③つみ木をもつ。

④別のつみ木を見つける。のせたいと思う。

⑤のせられそうな積み木を選んでもつ。

⑥倒れないか、どうしたらのるか試行錯誤する。

⑦うまくつめる。

⑧ヤッター!みてみて!

⑨もっと高くできるかな~?。もっとやってみよう!

 

ものすごくつっこみどころ満載ですがこんな感じで分けてみました。もちろん、年齢によってこの中の要素が大きく変わります。では、この中身をもうちょっと考えてみましょう。

 ①つみ木を認識する必要があるので、ものをしっかり見ることが必要です。見分けるために視界の広さ、奥行き、色を目で感じて脳に送ります。それに基づいて脳が、つみ木がどういうものかわかり(認知)、遊びたい欲求の動機づけがされます。そうそう、このとき運動面では目や首、体など身体のいろいろな部分を動かすこともしますね。

②遊びたいと思ったら、体を動かします。立つ、歩く、しゃがむ等の動作は自分と積み木との間に、ちょうどよい距離を作ります。

③つみ木と自分との距離は無意識のうちに測定して手を伸ばします。腕の重さは体重の1/16。手をのばすにつれ体幹や下肢に支える力が必要になります。クレーン車がアームを伸ばすとき地面にしっかりと支えを伸ばしていますよね。また、手の動きで意識するのは「つみ木をとる」ということで、動かし方、方向、手の使い方はほぼ意識しないで動かしています。

④ ①と同じです。

⑤「積む」ためには、ちょっと持ち方が変わると思います。2~5指でつまむでしょう。指先の力加減、触った感覚の他、土台の上半身、下半身、首が安定して、さっきより緻密に協調して運動していると思います。

⑥目、指、腕などからの感覚情報をもとに、水平、垂直、形、特徴を認知します。つみ木をのせるには、重心を意識するでしょう。より力加減、皮膚からの感覚、視覚を意識し手・腕を動かし、時には体幹の位置も調整します。③より感覚と運動の関連は密です。

⑦つみ木が手の感覚と視覚的に乗ったことを認知した段階で、指を開き、手をもどします。このときも体幹の安定が重要です。

⑧のったことがわかる。よろこぶでしょう。他人を意識して揉めてもらいたいと思うといった、感情・言葉・コミニケーションが働きます。

⑨次の動作・行動への動機づけになりますね。

 

つみ木遊びを例にとっても、①から⑨までの様々な要素がくさりのようにつながって一つの行動が成り立っていることがわかると思います。正常発達の過程ではだいたい積み木が積めるのは、1歳3ヶ月頃からのようです。このときの体の発達は一人で歩けるレベルです。つまり、首は座り、立ち上がることができ、二足歩行でバランスを取り、周囲の状況判断ができて移動することができ、つまずけば、反射的に手は開いて守る姿勢がとれるということです。

 お子さんの発達段階は様々な要因で、でこぼこがあると思います。そのへっこんでるところはどこなのか、見極めて体操、設定遊び、読み聞かせ、園庭遊び、お昼寝等園での活動で伸ばしていきましょう。(つづきあり)

 

 

2020年5月 1日 (金)

お家で遊ぼう! ~その⑥~

お家で遊ぼう!⑥

今回は『ニョキニョキ』体操をご紹介します。

このふれあい体操は、触覚や圧覚を感じたり、手、足を屈伸したり交差したりすることで、深部感覚を感じたりして、自分の身体図式を作り上げるために必要な感覚情報を楽しく感じてもらえる体操です。声を出して笑うことで腹筋も使いますよ。また、そろそろくすぐられるかな?と期待するお友達は、体操の流れが分かっているという事。お家の人と笑い合うコミュニケーションにもつながるとうれしいです。

 

手・・・ニョキニョキおててのにんじんさん、引っこ抜いて~洗って、皮むいて、

    とんとん切ってなべに入れ、ぐつぐつ煮えたら、出来上がり。いただきま~す。

    ムシャ、ムシャ、ムシャムシャムシャ~パクリ!

 

足・・・ニョキニョキあんよのだいこんさん、引っこ抜いて~洗って、皮むいて、

    とんとん切ってなべに入れ、ぐつぐつ煮えたら、出来上がり。いただきま~す。

    ムシャ、ムシャ、ムシャムシャムシャ~パクリ!

 

慣れてきらら、おなかではなくて、背中でやってみても楽しいです。お家の人といろいろな『ニョキニョキ』体操をやってみてね。

 


YouTube: にょきにょき人参さん 

今回も動画を作りましたので、動画に合わせながらやってみてください。

 

大変な日々が続きますが、不要不急の外出や3密(密室・密閉・密集)は避け少しでも早く日常に戻れるよう、今は安全におうち時間を過ごしましょう。